ちょっと一服しよう
七尾きよし

人生はめぐりあわせ
かたちあるものは必ずいつかはこわれてゆき
同時に精神の壁も崩落してしまわぬように
ぼくたちは両手首をコンクリートの中にぬりこめる
押し戻そうとしてもできっこないのに

精神の作用

そのうち耳がかゆくなってきて
どうにもこうにもタバコを吸いたくなって
ちょっと一服しようかと片手を引き抜いた瞬間
壁は音も無くぱたんと倒れていく

精神の作用

過去との決別は思いもよらないタイミングでやってくる(自動詞)
流れはとめることができない
というよりも流れはとまらないから流れなのだ

喜びと悲しみの間の垣根など最初から存在しなかったのだ
言葉にする必要などなく
感情とはそんな単純なものではない
言霊あそびをやめるときぼくは自由になる
単純なことだ
ちょっと一服しよう
時が来るのを待つことだ



自由詩 ちょっと一服しよう Copyright 七尾きよし 2006-09-24 03:31:58縦
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