二機目の飛行機が突き刺さって赤く丸く膨らんで滲んで弾けて広がったんだ
虹村 凌

薄暗い部屋で手探りで煙草の箱を出す胸元
百円のライターが照らし出す赤く丸い空間
摩天楼の数々の窓から差し込む微弱な光が
舞い上がる煙を照らすよ

臨時ニュースが始まった
テレビではニュースキャスターが
貿易センタービルの前で叫んでいる
濛々と立ち昇る煙の向こう側
二機目の飛行機が飛んできて
もうひとつのビルに衝突したんだった

誰かが隣で眠っている気がして眼を開けたけれど
実際は枕が転がっているだけで
離れてみればすぐに会いたくなる
友だちいるかい?画材はあるかい?
製作は進んでいるかい?いい絵はかけているかい?

アメリカンドリームはまやかしだったけれど
アメリカンナイトメアは本当だった
ビルに深く突き刺さる飛行機が赤く丸く膨らんで
滲んで弾けて広がっていったんだ

薄暗い安ホテルのベッドで眠りたい
薄いシーツに包まって
ひっそりと息を殺して
背筋を丸めて胸に顔を埋める
頭の中では何度でも
二機目の飛行機が突き刺さって赤く丸く膨らんで
滲んで弾けて広がっていくんだ


自由詩 二機目の飛行機が突き刺さって赤く丸く膨らんで滲んで弾けて広がったんだ Copyright 虹村 凌 2006-09-11 12:23:39
notebook Home 戻る  過去 未来