きみといた夏
LEO

はじまりは
突然ではなくて
地面に染み込んでいく
雨の速さに似ている

背後に潜む
稲妻と雷鳴の予感
と、その準備に追われる頃
夏の気配はすでに
私の踵を浮かせ始めていた

色濃く映える夏を探す
青空、向日葵、積乱雲
真白い日傘のその下に
差し出された手には
ビー玉揺れるラムネ瓶
眩しさの中に
きみの影が色濃く映る
花火、浴衣の夏祭り
輪投げ、ヨーヨー、金魚すくい
膨らんでゆく、夏は
 今はまだ静まることを知らないで


アスファルトに描いた
ふたつの影が
どんなに色濃くても
いつかは消えること
夏の終りの雨に知らされた

そうして風が
夏の喧騒を消してゆく
残ったのは
半分焼けた肌ときみとの記憶
‥真白い日傘のその陰で


それさえもいつかは風が
「あの夏」に変えていく


自由詩 きみといた夏 Copyright LEO 2006-08-30 21:47:38
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