夕やみ、ということ
かぜきり

この空は似ているな、   と感じること

風と風の間がこすれる音を 意識すること

どこかで電化製品に力が流れ込んでることに通じる こと

向かいの家の扉が 閉まる音を拡大解釈すること




    雲を数えること



まぶたの

裏に自分の瞳が映ってるなと思うこと暗闇で

自分の手のひらの色を確認すること

夢の中で

夢を相殺する意識を

感じること意識しない意識を否定しないことくうはくをうめるおとのあいだをかきむしっ

ていること

そんな
瞬間が

あること

決して重なることがない瞬間ということ


星を考えること

タマも星なんだよねと思えること



落ちていく砂時計の砂が実は粒ではないこと

再びもとの位置に戻るようなことは起こしても笑えないということ


ありふれたことが 薄く淡く紅いこと

葉っぱの葉脈が悩ましげなこと

落下するものを眺めていること

膨らんだことがつまらないということ



落下するものから見られているということ

つまびらかな時間が特に敵ではないということ

明日は明日でないということ


沈んだ夕日もひとつだと数えなおすこと


ゆうやみに解けながら

すわれてにじんでいく意識は今も空

ということ



自由詩 夕やみ、ということ Copyright かぜきり 2006-08-27 15:22:23
notebook Home 戻る  過去 未来