旧友
たもつ


木、その大きな直立
階段でいっしょになって笑い
二段抜かしをした九歳のように
セミの声だけが
音でよかった
根元に座って
レンガらしいレンガばかりを
レンガと呼び
それ以外のものはどこまで届くか
投げて遊んだ
じゃんけんの後出しが得意で
ねこじゃらしをいっぱい集め
珍しい虫や人の話もした
葉、その夕方の揺らめき
覚えている花の名を数えると
足りないのでまた笑った
言葉だけで
すべてが語れる気がしていた
明日見たこともない飛行機が来て
何もかもがなくなっちゃうなんて
知りもしなかった




自由詩 旧友 Copyright たもつ 2006-08-23 12:27:00
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