Scenes
たたたろろろろ

偽物のような朝日に照らされてスローモーションで抜けおちる髪


みずたちは迷路に惑わず進みゆく辿りつくもの溢れでるもの


窓越しに電線のたるむ一点を凝視する裸婦をデッサンするきみ


婦人らの世間話の中心で若い石像が相槌をうつ


逆光にエレキギターを掻き鳴らす 編みこんだ髪、指揮棒のように


夢のなかナイフが待っていたこれは俺が持つのか君が持つのか


校庭のボールが弾み街灯の傘のなかにだけ雨が降る


真夜中はカラスのようにうつくしく息を潜めて風とあそぶの


包丁が透き通るように響きだす シチューを煮込む鍋のとなりで


野良犬がモップのようななりをして僕らの街を汚しているよ


あのピンクのタオルが風に飛ばされて全てが崩れおちそうだ、今


金属が擦れるようなうた聴けばオレンジの香がのぼる朝焼け






短歌 Scenes Copyright たたたろろろろ 2006-08-14 00:48:52
notebook Home 戻る