ノート(ひとり ひびき)
木立 悟
鳥が くわえたたましいを
離すたびに緑は深く
深く 深く
枝は水紋
土に落ちた花が集まり
さかしまに笑む紫陽花もいて
水は灯る
水に 灯る
鏡に映る鏡の奥で
曇は浅く砂を踏む
水すくうかたち
こぼれるかたち
鳥のくちばしのあとのついた
小さなたましいが花のなかにいて
指で水をなぞりながら
空ゆく鳥を見つめている
ひろがりつづける輪の上に
星のように緑は爆ぜる
原は水紋
空は水紋
水は鳥になり鳥を追い
鳥は鳥のまま遠去かる
たましいの胸
たましいの夜
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