微笑みハンター
虹村 凌

夜間歩行 夜間歩行
昔ほどの新鮮さを無くし
ただ暗い夜道を歩くだけの行為に成り下がった
愛が全てだと信じていたあの頃は
夜道の全てが新鮮だった
金が全てだと思う人間に成り下がった
最早煙草や街灯や公衆電話ボックスは手がかりでは無く
ただ光を放つのみとなり
無惨な缶珈琲の残骸が点々と転がっているだけだった

よぉ!誰かセックスしようぜ!
口をついて出るのはそんな言葉ばかりで
それが本当に言いたい事なのかもよくわからず
半分も吸っていない煙草を揉み消す
よぉ!誰かお喋りしようぜ!

マグロ漁船に乗っかって
稼いだ金で世界を歩き
最後は戦地の真ん中で
地雷を踏んでサヨウナラ

夜道に微笑みは転がっていない
夜道に微笑みは転がっていない
ずっと昔に見た夜道の微笑み
酔いどれ天使達のギター
頭を抱える中学生
引きずられていく娼婦
そして夜間歩行夜間歩行

ソフトクリームを食べながら


自由詩 微笑みハンター Copyright 虹村 凌 2006-08-13 02:22:11縦
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