服部聖一

ツバメが低く飛ぶと、雨が降る
ツバメは海を渡る夏鳥である

青く育つ水田を横切ると
ムッとする草いきれがくる 夏休み
夏空の濃い青色はとても好きな空の色だ

夕立の匂いと雨の音
風が流れ、雲が流れ、時が流れる
とおい昔、日本の空も炎が降りそそいだ


雨を受ける小さい手のひらに
危険なモノを降らせてもいいのか
語り継ぐ、悲しみや憎しみを作り出していいものか
忘れたものを
とりに帰る時間もないほど
日本は忙しいらしい

憎しみと、憎しみと、憎しみと、憎しみと
それにつらなる悲しみと
何が正しいのかは 分からない
ただ、悲しみと、悲しみと、悲しみと、悲しみの雨

空は世界につながっていて
砂漠にさえも雨は降る


自由詩Copyright 服部聖一 2006-08-02 17:51:52
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