ひしゃく星
まほし

夜空に、ひしゃく星


 くらやみは
   すくわれることなく
     すりぬける


あなたとわたし、
街灯りを遠くに眺めながら
水を打ったように静かな公園を歩いていると
一枚の影絵になったみたい


でも本当は
別々の宇宙に浮かんでいるのでしょう


今、背中で
揺れたブランコの影さえ
同じものを見ているとは限らないように




夜空に、ひしゃく星


 くらやみは
   ふたりのはざまに
     ふりそそぐ


七つの星は
それぞれ遥かに離れていて
透明な器になれないまま溜息を零して


星と星を
見えない糸で結ぶものは何でしょう


二人、
眼差しを交わしても
足元に広がる不思議は解けないでいるけど




わたしが目にしているものは
わたししか見られないのなら
この道を波立たせるのも
この心だけでしょう


わたししか知らないあなたを
心にそっと抱きしめよう


あなたが孤独に
沈みそうになったとしても
まっしろな光で照らせるように




夜空の暗さゆえ
星が切ないほどに瞬く
その在り難さ、風に感じて


 「手をつなごう」


北極星をめざして――






自由詩 ひしゃく星 Copyright まほし 2006-08-02 07:16:04
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