鶏頭の花
結城 森士

風、吹き
障子が揺れた時
襖から、祖母が顔を出した
時は既に遅く
襖から、祖母が顔を出した

葬儀の前夜
その白い布の下から
祖母が顔を出した
少年が泣いた 時は既に遅く
祖母が死んだ

いずれ何処かへ行く風の様だ
彼はお墓の前で水をやる
鶏頭の花に水をやる
いつか墓の後ろに
鶏頭の花が顔を出した
風、吹き
少年の空
祖母の雲
鶏頭の花、咲き



自由詩 鶏頭の花 Copyright 結城 森士 2006-07-21 23:12:16
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行方不明にて