開拓
たかよし

彼氏は火星の開拓団に参加した

ミリーはグレイのキャミソールを着て

カーキー色のキュロットスカートを穿き

金色の髪の毛をポニーテールに束ねて

ラジオの音楽番組に耳を傾けている

20世紀のポップス

ウルトラヴォクスが流れている

ミリーはシンクに立ち洗物をしようとする

蛇口のバルブを開けると水が流れた

ミリーの涙腺も緩み一筋の涙が流れた

曲が変わるネーナの何か

軽やかに歌われるドイツ語の意味がさっぱり

判らなかった…

そもそも観察している私は誰だろう?

ステンレスのバットに私の顔が一瞬映る

私はすでにミリーだった

また曲が変わる

クラフトワークのマンマシーン

瞳はまだ涙に滲んでいる


自由詩 開拓 Copyright たかよし 2006-07-20 20:57:25
notebook Home 戻る  過去 未来