遠い街から
bjorn

どこまでも続いていた
白い砂浜と打ち寄せる波
柔らかい春の日差しと頬に触れた潮風
逃げるように訪れた街で
あなたをただ忘れたくて

海岸沿いのまっすぐな道を
すれ違う家族連れ
手を取り合った恋人たちと
子どもがボールを追いかけて
私だけひとり
あてもなく歩いている

ときどき誰かが目を留めて
視線がぶつかるけど
話しかける人もいたけど
うつむいて過ぎるだけ
その言葉が分からないから

交わす言葉は違っても
風の音は同じで
ただ光る波が眩しくて
水平線はあまりに遠くて
私だけひとり
その向こうのあなたに思いをはせる


自由詩 遠い街から Copyright bjorn 2006-07-19 23:25:43
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