三つの海の詩
さくらほ

一. 

潮風が
子らの顔を
歓迎す

優しい匂いは
どこか懐かしく
私の心を
浮き立たす

楽しい思い出は
何年たっても
色あせぬ

わたしも
むかし
子供だった

日焼けも
大波も
人間も
何をも恐れぬ
子供だった



二.

ゆれて
 ゆられて
よせて
 かえして
波の
 まにまに
ただよう
 ただよう

もう少し
 もう少し
時が
 過ぎたら
ちゃんと
 おうちに
  帰るから


ゆれて
 ゆられて
よせて
 かえして
波の
 まにまに
ただよう
 わたし


三.


船は遠くへゆきました
あれもこれも
みぃんな乗せて

船はどこかへゆきました
私の知らぬ
港を目指し


旅立ちと
別れは
どこか似ていて
紙テープが
いつまでも
私の指を離れない

離してしまえばよいのに
離すことが出来ぬ


もう
とうに
その先は繋がっていないのを
知っているけれど


自由詩 三つの海の詩 Copyright さくらほ 2006-07-15 23:00:09
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