のそり
七尾きよし

帰るべき場所へ
たどりつくことはない
決して満たされることのないこころは
あてどなく
人生をさまよい
そのときどきの欲望を
甘いジュースで満たす
グラスの底に沈澱する
苦味の液体を
目をつぶり
のどへ流しこむこと
たびたび
善悪のはざまに橋をかけ
どちらがわへも
渡りきることなく
ひた渡りつづける
ぼくの道
帰るべき場所へ向かって
のそりのそり



自由詩 のそり Copyright 七尾きよし 2006-07-06 15:26:04
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