水際へ
霜天

全ての言葉が、その海辺へと集まっていく
見送るためでなく
出迎えのためでなく
肩からの荷を下ろし
波打ちへと捨てていく
やりきれない空の起伏を
ひとしきり戦わせた後で
すこやかに
ただ、青の深みへと生まれ変わる

 (生まれてきた時の記憶が
 (いつまでも寂しさを繰り返すから

ここは、全ての水際
私はわたしとして
静かに悔いる物事を
忘れるための一日
夜は微かに寄り添い
休息のための休憩を
ただ風が止むように
ゆっくりと(音も無く)跳ねるように
振り返れば
いつも曖昧な(透明な)野の際や
望めない空の吹き溜まり
ほんのささやかな
わたしの言葉を願い続ける


この水際へ
誰もが帰っていけるように
悲しみの裏側の
溶けない氷は音も立てずに
そこに抱えているもののため
静かに私の言葉は途切れる


自由詩 水際へ Copyright 霜天 2006-07-02 00:09:25
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