ホタルブクロ
たりぽん(大理 奔)


水面のやさしさを信じ
身を投げる木の実の
沈んでいく運命の先を
知らないかのように
綺麗な音色だと
美邪気に笑う君に
かなしくなる

西の雲は入り日に
焼かれるからかわいそうと君は
今日という日の終わりの色を
ため息にかえるから
私は私の野生に
名前を付ける

夜半に降りしきる雨も
二人の熱で相変化する
ほんのわずかな汗や涙
で、あるのなら

胸をしめつける窮屈な闇
月に照らされる
蒼い斜面のかたすみに
ひそかに風に揺れながら
いちりんの
ほたるぶくろが
花開く

ああ、それはただ
ただ、やさしいだけなのだ




自由詩 ホタルブクロ Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-07-02 00:05:56
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