さくらほ

母は
随分と老いたけど
声は変わらない

母は
もう私に「早く早く」とせかさなくなったけれど
私に「早く」とせかされる

母は
なぜか私よりスタイルがいい
ちょっと癪だけど
ちょっと自慢

母は
安いうなぎを買ってきて
みなが食べながら顔をしかめると
いつも
「これは朝開きの静岡産だから」と言うが
私にはそれが良いものか悪いものか
いまだにわからない

母は
大皿料理が得意で
それを
フライパンごとドンと出す事がある
ちょっとウケる

母は
子供の頃
腎臓病で死に掛けて
医者に「最後に好きなものを食べさせてあげて」と言われて
祖母たちが春にスイカを買い求めて
母に食べさせたら
持ち直したという逸話を持つ

母は
おせんべいやあられが大好きで
母の家には
輪ゴムで閉じた食べかけのお菓子が
いっぱいある

母は
確か病弱だったはずなのに
私が家を出たら
急に元気になって
大正琴と社交ダンスに
明け暮れる毎日だ
なぜだ?

母は
父の困った性格を文句言うが
結構
自分自身に当てはまってる事に気づいていない

母は
私と一緒に服を買いにいくと
必ず自分も
「買いたくなっちゃったがね」と言い
私が買わなくても買う
そして
「私が死んだらあの服の山を処分してね」と言うが
私はホコリアレルギーなので
出来れば自分でやって欲しいと思っている


わが母ながら「ナイスキャラ」だと思う

母よ
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自由詩Copyright さくらほ 2006-07-01 23:17:03
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