ピンボール
七尾きよし

なにも求めやしない
ぼくはだれのものでもなく
きみをただ愛する
ただの愛

もともとないものを
きみはうしなったというけれど
きずつきようのないものが
こわれてしまったときみはなげくけど

かなしみをアイデンティティとする
きみたちおおくの人間あるかぎり
ぼくは弾をこめつづけ

ピンボールとんでくよ

屈折した欲望のなかを
ピンボールはキンコンカンカン
ぶつかりながら進んでく

スピード増しつつ
ぼくのハートめがけてつっこみ
しまいにくだけ散る

なみだうるませ
バネをちぢめてもう一度

何度も何度もピンボールとんでくよ


自由詩 ピンボール Copyright 七尾きよし 2006-06-29 04:31:21
notebook Home 戻る  過去 未来