つなぎ
iloha
詩になることで
一歩ずつ押しだされ
ひとつ
またひとつ
人間になっていく
詩になれなかったぼくが
水溜りに転がって
ぼんやりと
道行くサラリーマンに踏み潰されるのを待っている
カラスに食い散らかされる前に
夕日の端で焼却され
塵となったぼくは
雨粒に溶けこんで
きみの傘へと降りそそぐ
晴れた夜には
大気の層が
ぼくを哀しみで包み込み
誰も気づかなかったような色で
淡い光を灯すだろう
ランダムな日付のカテゴリーに解体され
分類・整理されそうになるぼくを
言葉が
つなぎとめている
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■ 現代詩フォーラム詩集 2006 ■