愛の註釈
七尾きよし

人を愛するとき
それまでことばにしようのなかった
あなたの中の大切なことが
はじめて
ことばになる

じぶん以外の何者かに
なれと言われながら
生きている人生のはざまに
人は恋をして

いちばん大切な感情を
決して誰も奪いとることのできない
あなたの中の大切な光を
はじめて ことばにしようとする

それは
新たな誕生
それまで生きていなかった
あなたの部分が生命を得て
生きはじめるということ

自分自身のことさえも
ろくに知らない人間という生き物は
感情というカタチで
自らを知る

愛をことばにするとき



自由詩 愛の註釈 Copyright 七尾きよし 2006-06-27 03:03:21
notebook Home 戻る  過去 未来