雷鳴の個人
こしごえ

とどかなかった、星の下
遠雷の近づいてくる夕べ
雲がますます色をなくし
このからだの重さに形をなくし
響くのは指先の細くなぞる唇の遠い約束
の紅さ
ずっと忘れずにいたのは
鮮やかに流れているから
雨も降ります
いずれ止むけれど
空は想っているよりも薄く
降り続け帰ってゆく
本当の意味で空を見上げることはもうないと
思うのは
この胸にある青碧のしびれそうな熱のため
かつて 閉ざされていた風の音
それが ぴしひしと割れてきて
雨となって耳打ちをしている
今という今の空の重さに濡れて
この星の上に 立っているひと








自由詩 雷鳴の個人 Copyright こしごえ 2006-06-24 15:04:04
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