*鳴く電灯*
かおる

ちゃんと季節は夏至まで巡ってきたと言うのに
太陽の奴いったい何処に居るんだか
朝寝坊を誤摩化しているのか
おつきさんと夫婦喧嘩でもして
目の周りの痣を見られたくないからか
この頃ちっとも姿を見せずに
八つ当たりで空を泣かせてばかり
夜に虫を撃退しているオレッチだって
昼日中から辺りを睥睨しているのもとうに厭きたよ
ぴしっとまっすぐ立っているのだって
依る年波のせいか、
ジトジトとした湿気で神経痛に響いて堪らんぜ
鳴きのひとつでも毎日寄り道してくれる律儀なワンコロに
こそっと呟いてみようかな
きっとポチの奴
心配しておばあさんの膏薬を貼ってくれるだろうな
もちろん、シャッポを掲げてお礼を言うつもりさ
おばあさんに見つかっちゃたら偉い騒ぎだから
気をつけ、ナイト、な!
おぉ、流石平和の象徴と
持ち上げられていただけの事はあるんだ
オレッチの直立不動とナイトスタンドに
引っ掛けた高尚なギャグを
ちゃんと解って
喉を鳴らして喜んでくれるとは
毎日止まり木の代わりを
務めている甲斐があるってもんさ


自由詩 *鳴く電灯* Copyright かおる 2006-06-23 19:16:39
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