きみの名を呼ぶ
銀猫


夜は綻び
朝が死角からやって来る


陽射しが強くなれば
それだけ濃い影は出来て
ありふれた若さのなかに取り残したわたしと
残り時間を失ってゆくわたしが
背中合わせする毎日に
日記の文字は躊躇っている

両手のひらを差し出せば
落ちてくる羽根のような不安
無駄に強がり
走ろうとすれば
踵の高い靴を履いた爪先が痛む


白くありたい
けれど強い黒になりたい
いっそ汚れ混じり合うものなら


砂時計を横に倒して
さらさらと無情に過ぎる刻の証拠を
否定してみても
こころの真ん中で
闇が密かに脈打っている

耐えかねて
きみの名を呼ぶ


名を呼ぶ

きみの




自由詩 きみの名を呼ぶ Copyright 銀猫 2006-06-21 23:42:23
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