初夏の断層
たりぽん(大理 奔)

風をつかもうとして
草をちぎってしまった
てのひらが

鳥を呼ぼうとして
こんちくしょうと叫ぶ
声が

心のかたちを確かめたくて
君のからだを抱きしめた
腕が

今夜もずれている
昨日もそうだったろう
本当に欲しいものは
すり抜けていき
届くだけの世界で、

幾重にも重なった
地層のような
事実だけが押し固められ

不確かな雨上がりに
屈折して投影される
虹だけ、が
まぶしくて

つかもうとしても
暗雲が気になる夏空に
私が、
ずれていくのです




自由詩 初夏の断層 Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-06-21 11:59:08縦
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