虹色の町のあなたへ
プル式

雨にかすんだ街を見ながら
少し寂しくなったので
あなたの言葉を思い出しました。

水溜りの中に
小さな小さな雨色の町があって
その町では
どんな事でも虹色に綺麗なんだ

あなたはどんな想いで
その言葉を口にしたのか
私にはもう届かないのだけれど

あなたの言ったその言葉は
今でも私の心の中に
静かに住んでいるようです。

そう言えば昔
あなたの飼っていた小鳥が
あなたの家から逃げ出したとき
あなたはひとつも空を見ずに
水溜りばかり傘の先でつついて

どうしたのと聞いても
ううん 何でもないよ
としか答えてくれなかったですね。

私はあの時
なんだか置いてきぼりにされたみたいで
とても悲しくなったの。

あなたはそれからすぐに
水溜りの世界に消えてしまったけど
私は今でも時々
こうしてあなたの事を
思い出しています。

あなたは今頃
馬鹿だな冗談だよ
なんて
笑っているのでしょうか。

お元気ですか
今日も街は
霞んでいます。


自由詩 虹色の町のあなたへ Copyright プル式 2006-06-21 11:17:27縦
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
頭のなか
作者が好きな自分の作品