可愛い女
恋月 ぴの

わたしとしては早く終わって欲しいのに
あなたはまるで厳粛な儀式に望む
いんちきくさい司祭のような面持ちで
わたしのかたちを確めてみたり
わたしの知らないかたちで動こうとする
ふだんと違う表情を見ないようにしないと
思わず噴き出し笑いをしてしまいそう
(鍵穴から見えたママ達は
(こんなかたちしていなかったよ
額から汗を流すあなたに申し訳なくて
思わずあなたに抱きついてしまって
(別に嫌じゃないんだけど
(じゃれ合っているだけじゃ駄目なのかな
逢うたびに繰返されるようになった
「愛のかたち」
いつまで続くのかな
それはお互いを知り尽くしてしまうまで
それとも永遠というかたちに縛られるまで
おはようメールのやり取りだとか
待ち合わせをして映画を観たり
軽く手を触れ合うだけの散歩だったりした
出会い始めの頃がとても懐かしくて
(感じたふりぐらいならできるよ
すべてはあの日から始まったのかも
延々と続く白いガードレール
山側の単調な景色に飽き飽きして
おいでおいでとささやく手のひらに誘われて
わたしは暗くなった夏の海へ泳ぎ出した
(信じられるもの欲しかったのかな
あなたの満足そうな横顔を見れば
「これでいいの」と自分に言い聞かす
わたし これでも可愛い女


自由詩 可愛い女 Copyright 恋月 ぴの 2006-06-21 07:28:31
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