「空」を抱く人 
服部 剛

立ち位置を、探している。
いつまでも見つからない、
足の踏み場を。 

もしくは、
消えてしまった君の幻を
抱きしめる、
世界の中心を。 

人波の川が流れゆく
この街の中で、 
差し出した両手を広げたまま。 

この足はいつも、
アスファルトから少し浮かんでいる。 

黄昏たそがれの空から、 
金の糸が垂れている下に結ばれ、
吊るされた贈り物の箱。  

口を空け、見上げてばかりで。 

( あの箱にはあの日
( 私の手をあたためてくれた 
( 君の両手が入っている 


天と地の間に
いつまでも浮かんでいる
両手を広げ「くう」を抱く 私という人


君の後ろ姿を見送ったあの日。
 
茫洋ぼうようと定まらぬ、
目線のまま。 








自由詩 「空」を抱く人  Copyright 服部 剛 2006-06-19 23:23:58
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