水平線遊戯
こしごえ

湾曲している水平線上にて、
しめって酸化しそうな金属の肌が
垂れこめた雲に灰色の腐蝕を放っていて
見あげても星は降る気配
海の月の揺らぎ
飽和した幻影の瞬く電子
この神経を流れ去ることのない衝動に
青くさびる血液の声が鳴動し
暗雲の細胞の暗さへと
青白い熱を帯びた
裸体の静まりを聞きながら放心していく
その鎖骨の曲線から零れるちいさな乳房に
しびれながら接吻する灰色の肌をした老人の
心音のあわいから したたる
光をすこしずつ食べて
内包されてゆく蕾の夢に やがて
蜃気楼が冴えかえり はたたく
キス
されたのは
わたくしだった
雨月水曜日。
冷たくなったわたくしは、
しち次元で楕円体の内面に波音をさせている海原へと
キスをくりかえす流転の舟








自由詩 水平線遊戯 Copyright こしごえ 2006-06-19 15:16:24縦
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