スモーキング・カフェ
マッドビースト

隣のテーブルでは
中年の男が
くわえ煙草で
眉間に皺を寄せ
本をにらんでいる

奥のテーブルでは
初老の女が
眼鏡をかけて
忙しく次から次へと
バッグから書類を取り出しては
興味なさそうに覗き込んでいる

午後のカフェは
暇を持て余した者の社交場だ
喋っているものは稀だが

それぞれの時間を重ね合う社交場
コーヒーの香りと
煙草の煙を言葉として


孤独は落ち着いて
均等に部屋に溶け
白いカップとソーサーが
西日に輝いている


未詩・独白 スモーキング・カフェ Copyright マッドビースト 2006-06-14 22:11:03
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