さよふなら。今は微塵も君を愛して何か居無ゐよ
虹村 凌

なついあつの日に僕等は出會つた
其れは僕乃顏が崩れ始めた頃だつた
萬國旗乃スカートしか記憶に無ゐのですが
彼乃時君乃御尻に指が觸れた乃は覺ゑて居るよ

佐藤ヲ入れ過ぎた冷珈琲ヲ流死込Me
僕はずつと横顏ヲ眺めて居たのだ
會話乃内容はDVであつたと記憶して居る
ドメスティックヴァイオレンス
コスメティックヴァイヴレエタ
ドメスティックヴァイリンガル
コスメティックヴァイヴレエタ
揉み消す煙草乃火と吸ヰ殼は丸で銀色乃灰皿ヲ磨く樣に
僕乃眼乃前にだけ置かれた灰皿は少しづつ美しく成つたのだ


(臺詞)「御母さん其の拳銃を僕に御呉れよ。
幾ら撃ち拔ゐても足りや不なゐんです。
如何程彼を憎んで居るのか分から無ゐ譯では無ゐでせう。
僕は幾度とも無く裏切られ蔑まれ嘲笑されたのです。
さあ早くその銃を!さあ早くその銃を!さあ早くその銃を!
さあ早くその銃を!さあ早くその銃を!さあ早くその銃を!
早く寄越すのです!寄越すのです!早く寄越すのです!寄越すのです!」


(銃聲)



ふゆいさむの日に僕等は再會
其れは僕乃顏が崩れ落ちた頃だつた
狂つた情と殺意しか記憶に無ゐのですが
其乃時君乃唇にそつと觸れたのは覺ゑて居るよ

甘く炒め過ぎたポツプコオンヲ食む
僕はずつと唇を貪つて居たのだ
會話乃内容はIEであつて覺ゑて居無ゐ
インターネットエクスプローラ
インポテンツエクシビジョン
インターネットエクスプローラ
インポテンツエクシビジョン
揉み込む其乃乳房と乳首は丸で紅蓮乃欲ヲ煽る樣に
僕乃眼乃前にすら晒け出された乳房はどんどん醜く爲るのだ


(銃聲)(銃聲)(銃聲)
(悲鳴)(銃聲)(斷末魔的絶叫)
(銃聲)(銃聲)(バタリ)
(銃聲)(悲鳴)(銃聲)
(斷末魔的絶叫)(銃聲)

(臺詞)
「暑ゐ夏乃日に僕等は番つたのです。
君は僕乃魂ヲ殺し僕は君にそうする許可ヲ與ゑた。
僕は君乃身體を欲し君は僕にそうする許可ヲ與ゑた。
私は世界が變はると信じて疑わなかつた此乃行爲は、
私に世界が永遠に變わら無ゐ事ヲ教ゑて呉れた。
次に何時遭ゑるか判らぬと言ふのにも係はらず、
僕も君も情熱なぞ持ち合わせて居無かつたのだ。
嗚呼!何と言ふ絶望!嗚呼!絶望!絶望!
僕は崩れ搖れ動く君を可愛ゐ等と云ゐ、
我が友人乃君で或る君ヲ寢取つたのである!
なのに君が僕にした仕打ちは!僕が君にした仕打ちは!
嗚呼!何と云ふ絶望!嗚呼!絶望!絶望!
嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!」


なついあつ乃日に僕等は別れた
其れは僕乃顏が再び組織化された時乃事
君乃無き聲と喚き聲しか覺ゑて居無ゐのですが
其乃時は未だ好きであつたと今でも誓つて言ゑるよ


「さよふなら。今は微塵も君を愛して何か居無ゐよ」


(銃聲)
(バタリ)
(僕は何乃爲に死ぬのだろふ)
(矢張り死ね無ゐ)

(無垢離)


散文(批評随筆小説等) さよふなら。今は微塵も君を愛して何か居無ゐよ Copyright 虹村 凌 2006-06-07 22:50:01縦
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