ジャメビュの朝
こしごえ

早朝の
夜が やっと明け始めるころ
眠りから覚めた
鳥たちが挨拶を交わし始めるころ
色白の
肌が青白く影を帯び始めるころ
私は、

私自身の気配にかすかな境界を感じ
縁側でぽつねんと煙草をふかし
淡く淡い吐息に
庭の椿の赤く静まる影が
鮮やかに戦慄の正体を染めあげる様子を
昨夜、何事も無かったかのように
この一日を始める血液の声

泡沫ほうまつの意識にとける音の静かな空の支点
それは翼の夢で
朝の星の透けていく光に
瞳の輪郭をなぞってゆく白化
(     )
(夢ですねぇ)
それでも残念だなんて感じない
私は、薄闇に響く星になりつつある
今朝の空はとても近づくゆらぎ
さわやかにざわめく
幽かなからだに、青いキスを。







※ ジャメ・ビュ=未視感(日常見慣れているものを、初めて見たように感じること。)





自由詩 ジャメビュの朝 Copyright こしごえ 2006-06-07 09:05:51縦
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