誰かが君を責めていた時
若原光彦

誰かが君を責めていた時
君にちょっとした落ち度があって
むしゃくしゃした奴が教育にかこつけていたあの時
僕はそいつを責めていた
お前に言われちゃおしまいだよと
偉そうなことを言える立場かと思っていた
憶えておくがいい

そして誰かが君をあざ笑っていた時
数人が罠を仕掛けて
派手に転んだ君を遠慮なく笑っていた時
僕はそいつらを冷笑しようとしていた
馬鹿ってのは一ヶ所に集まるもんだと呆れていた
相手にするまいと胸に誓った
憶えておくがいい

そして誰もが君を避け始めていた時
どんなに賑やかな集まりも
君が通りかかると急に静まりかえっていた時
僕はそいつらを置き去ろうとしていた
偽善的な連中を見限って
そこを捨てて行くことにした
憶えておくがいい

そして誰もがいつか君を忘れてしまった時
君に誰がいつ何をしたのか
きれいさっぱり忘れてみんなが盛り上がっていた時
僕はそいつらのことを忘れることに決めた
こんな奴等と過ごしていられるほど
僕の時間は長くはない
お前達などどうにでもなれ
僕には一生関係ないと思った
憶えておくがいい

さようなら君
さようならくだらない奴等
さようなら厭らしい場所
さようなら
さよなら
二度と僕に関わってくるな

ねえ君
昨日のことのように思い出す
君は罪作りな奴だった
君と居ると誰もが苛々した
必ず気まずい気持ちになった
無視できる奴は無視するしかなかった
当たるしかない奴は当たるしかなかった
みんな徐々にすさんでいった
君は憎しみを引き出していった
みんなを汚していった
君がみんなを悪人にした
でももう
何年も前のことなんだね
ねえ君
元気にしているだろうか
とりあえず無事だろうか
今もどこかで責められ続け
笑われ続け
避けられ続け
忘れ続けられているのだろうか
僕の知ったことではない
憶えておくがいい
すまない
君のことは忘れない
忘れたことなどない


自由詩 誰かが君を責めていた時 Copyright 若原光彦 2006-06-04 21:45:13縦
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