ものがたりする人の
なを

ものがたりする人の
褪せたシャツのすそに手を伸ばして
でも 
そういえばわたしの
ゆびは枯れ木のようにあっけなくもぎとられて
食べられてしまったのでした
(ええ、じゅっぽんとも)


だからシャツを掴めない


枯れ木のように
(まるで果実のように?)
もぎとられるのならきっと
ハンティングワールドの兎が走る
そのめくるめく雪のうえの足跡と血痕
これがわたしの身体に充溢した水


綺麗ね
おねがいその水のおはなしをして。


さびしいときにねぶるゆびがもうないので
ものがたりする人の膝にもたれて
こんなふうにものがたりを乞うのです


自由詩 ものがたりする人の Copyright なを 2004-02-20 01:56:48
notebook Home 戻る  過去 未来