問いかける
虹村 凌

ハンバーガーの間に挟まれている肉が俺を睨み付ける
お前は他の生命を喰う覚悟が出来ているのか?と
お前は他の生命を喰って生き延びる覚悟はあるのか?と
お前は他の生命を喰って自ずから死を選ぶことは無いのだな?と
ハンバーガーの間に挟まれている肉が俺に問いかける

ハンバーガーの間に挟まった肉に限らず
熱い鉄板の上に乗った牛フィレ肉だとか
高温で揚げられた鳥肉だとか
白いご飯の上に乗った豚肉だとか
握りの上の刺身だとかが
いちいち俺を睨み付け問いかけるのだ

時々ゲロを吐きそうになるのはその所為だ
折角の馳走も不味くなる質問ばかりしやがる
だがその質問を疎かにしている訳では無い
何故なら俺はしばらく死ぬ予定は無いからだ

確かに私は俗な人間である
喰いたい時に喰い
吸いたい時に吸う
眠りたくなれば眠る
ある程度の事柄をこなしながらも
私は俗世を捨てられずにいる

今日も彼らは私に問いかける


自由詩 問いかける Copyright 虹村 凌 2006-06-04 16:12:19
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