ほね
窪ワタル

やいたほねをくったことがある
ざらついたにがみと
のどにひっかかるかんしょくは
それがおとといまで
ねむり おき くって ゆめもみたのだ とは
にわかにしんじがたかった

こどもだったころ
いちど ほねをおった
のれたばかりの 
ほじょりんのないかぼそさは
あめのあすふぁるとからとんだのだ
しょじょひこうは ほんのすうびょうで
ちきゅうはまあるいのだと
おれはしったのだ

いたかったんだよ ぼくは
おおごえでないたんだよ

はははなにもいわない
もう こえが ないのだった



しじんがしんだよる むしょうにはらがへったので
ぱそこんで しじんのこんせきをあるいて
のどぼとけに ことばをひらった
やはり もうこえはなかった
しじんも もういたくないのだろうか
めのまえにはまだ こえがあるのに

かたみちだけのこうしんがおわると
わたしはかあっとして
したさきで し し し と
くりかえしよんで わかれをいった

こえは まだ なっている
ふかいうみのそこの
うつくしいものだけをくみあげて
あやしく あかるくひかる
はいいろの こえが
てれわらいしている
ふかいやみで てらしだすように


わたしはほねをくらったのだ
かみくだこうとすると
すぐにきえてしまう
かぼそいあなたたちのほねを





自由詩 ほね Copyright 窪ワタル 2006-05-20 16:21:27縦
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