ほね
窪ワタル
やいたほねをくったことがある
ざらついたにがみと
のどにひっかかるかんしょくは
それがおとといまで
ねむり おき くって ゆめもみたのだ とは
にわかにしんじがたかった
こどもだったころ
いちど ほねをおった
のれたばかりの
ほじょりんのないかぼそさは
あめのあすふぁるとからとんだのだ
しょじょひこうは ほんのすうびょうで
ちきゅうはまあるいのだと
おれはしったのだ
いたかったんだよ ぼくは
おおごえでないたんだよ
はははなにもいわない
もう こえが ないのだった
*
しじんがしんだよる むしょうにはらがへったので
ぱそこんで しじんのこんせきをあるいて
のどぼとけに ことばをひらった
やはり もうこえはなかった
しじんも もういたくないのだろうか
めのまえにはまだ こえがあるのに
かたみちだけのこうしんがおわると
わたしはかあっとして
したさきで し し し と
くりかえしよんで わかれをいった
こえは まだ なっている
ふかいうみのそこの
うつくしいものだけをくみあげて
あやしく あかるくひかる
はいいろの こえが
てれわらいしている
ふかいやみで てらしだすように
わたしはほねをくらったのだ
かみくだこうとすると
すぐにきえてしまう
かぼそいあなたたちのほねを