誰かを愛した過去の歌 (あなたを想う陳腐な愛の歌の続き)
さくらほ
・
大事なものだけを信じる
ただそれだけ
簡単そうなのに
人間には難しい
・
素直に言葉を
受け取れなくて
ごめん
ただ何でもない自分を
認めて欲しいだけ
・
逢いたい思いに
胸を焦がす
一瞬の煌き
私は炎になる
・
大事なものに形は無い
そんな事知っているのに
形のある確かなものを
欲しくなる
・
あなたの胸に
あなたの腕に
わたしがいなくても
わたしの愛はそこにある
・
目隠しされて
あなたに手を引かれ
歩くだけの人形だったら良かったのに
・
愛を受けた記憶は
いつも曖昧で
私の姿を成さない
愛を知らない私に
愛を語る資格は無く
ただ理想の愛に縛られる
愛にとらわれた私は
暗闇に放たれた鳥
・
悲しみには
底がない
いっそ
私の心を
握りつぶしてください
・
どうしようもない
この気持ちを
抱いたまま
何も言わず
何も残さず
手のひらに落ちる雪のように
消え去る
・
凍てついた心に
白い雪がつもり
私の心を覆い隠してゆく
いっそこのまま
つぶれてしまおう
・
さまようわたし
さまよう振りをするあなた
さようなら
わたしとあなた
・
疲れた心からは
痛い言葉しかなくて
疲れた体からは
弱い言葉しかない
それでも言葉を吐く
言葉を吐かなければ
生きてこられなかった
・
苦しい胸のうちを
苦しいと気づかぬように
自分まで騙し
空を見る
あの日の雲は
どこへいったかな
・
夢を見た
悲しくて目が覚めた
もうすぐ朝が来る
・
雨の日は
あなたとの思い出の中で
彷徨い動けなくなる
雨は
私を閉じ込める
やはらかな檻