誰かを愛した過去の歌  (あなたを想う陳腐な愛の歌の続き)
さくらほ



大事なものだけを信じる
ただそれだけ

簡単そうなのに
人間には難しい





素直に言葉を
受け取れなくて
ごめん

ただ何でもない自分を
認めて欲しいだけ




逢いたい思いに
胸を焦がす
一瞬の煌き
私は炎になる




大事なものに形は無い

そんな事知っているのに
形のある確かなものを
欲しくなる





あなたの胸に
あなたの腕に
わたしがいなくても
わたしの愛はそこにある




目隠しされて
あなたに手を引かれ
歩くだけの人形だったら良かったのに




愛を受けた記憶は
いつも曖昧で
私の姿を成さない

愛を知らない私に
愛を語る資格は無く
ただ理想の愛に縛られる

愛にとらわれた私は
暗闇に放たれた鳥




悲しみには
底がない

いっそ
私の心を
握りつぶしてください




どうしようもない
この気持ちを
抱いたまま
何も言わず
何も残さず

手のひらに落ちる雪のように
消え去る




凍てついた心に
白い雪がつもり
私の心を覆い隠してゆく

いっそこのまま
つぶれてしまおう




さまようわたし
さまよう振りをするあなた

さようなら
わたしとあなた




疲れた心からは
痛い言葉しかなくて
疲れた体からは
弱い言葉しかない

それでも言葉を吐く

言葉を吐かなければ
生きてこられなかった




苦しい胸のうちを
苦しいと気づかぬように
自分まで騙し
空を見る

あの日の雲は
どこへいったかな




夢を見た
悲しくて目が覚めた

もうすぐ朝が来る




雨の日は
あなたとの思い出の中で
彷徨い動けなくなる

雨は
私を閉じ込める
やはらかな檻







自由詩 誰かを愛した過去の歌  (あなたを想う陳腐な愛の歌の続き) Copyright さくらほ 2006-05-20 16:13:07
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