ナミダチョキン    
さくらほ

わたしがナミダチョキンを始めたのはいくつの時だったか。

納得がゆかぬことで父に叱られ泣いて、泣いた事でまた叱られもっと泣いて
その泣き方が悪いとまた叱られナミダ涙の悪循環。
いつしか泣いたらもっと怒られるという事を勉強した。
人一倍泣き虫の私は色々なパターンの涙を持っていたが、涙を流さなくなった。
心までコントロール出来ないから涙はぐぐっと湧きあがってくる。
涙を我慢すると、ほっぺがギュッとすっぱくなり、咽喉が塊を持ちぐっと押し上げられるようになる。
いつしか私も父と同じよう涙って流してはいけないものと思うようになっていた。

ためた涙は自然に蒸発する事は決してなく、どこかにきっとたまっていると思う。
だから私は言葉を書きたくて仕方がないのだ。
誰かに発信する言葉ではなく自分を癒すために言葉を書く。

今では父も母も大好きで恨む気持ちなど全くない。
むしろ育ててもらって感謝もしているし、それなりに愛されて育ったんだと思っている。
それでも私は小さかった自分が捨てられない。


自由詩 ナミダチョキン     Copyright さくらほ 2006-05-18 21:30:25
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