十二才
吉岡孝次
いたずらに手をこまねいていた
(金網のむこう
少女が白い腕を差し上げる)
日暮れて
梢はゆらぎ
また
憩うように止める思い
(明るく
ふるまおうか)
きまって人が見ていた
それで
ただ
「やあ」とだけ目で挨拶 ――
立ち去ったのだ
汗のない風に押されて
東へとよろける
今が過去だなんて
誰にもわからなかった
自由詩
十二才
Copyright
吉岡孝次
2006-05-15 20:31:43