さみだれ
佐々宝砂

五月半ばの空は晴れ渡り
真っ暗な空に星と太陽が並んで光る
という風景を見るためには
大気をすべて消去する必要があるけど
そこまで無理することないわ
面倒だから五月闇で充分
まだらに曇る空から降り注ぐのは
あなたにも今は見えるでしょうほら
地面をじっとりと粘つかせる
木の枝からどろどろと滴り落ちる
わたしの髪はもうすっかり褐色なのだけど
これはいったん洗い流して
さみだれに乱れ染めにし我ならなくに
ううんあなたのせいにしないから大丈夫
わたし理路整然とわたしの責任で狂うの
その痩せた両手も両足も
切り落としてあげる
あなたをわたしの特別にしてあげる
ねえなんて鮮やかな血の雨
なんてさわやかなさみだれ






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 2005.5月月例詩集


自由詩 さみだれ Copyright 佐々宝砂 2006-05-15 02:52:53
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