おっぱい
虹村 凌

ママンが僕を殺しに来る
大きな拳銃を手に
銀色の拳銃を手に


小奇麗な喫茶店であなたは突然の告白をする
「俺って童貞なんだよね」
人生の先輩である貴方は
どうしてそんなに悲しい眼をしていたのか俺にはわからない
俺にはわからなかったし俺にもわからなかった


ママンが僕を殺しに来る
大きな拳銃を手に
銀色の拳銃を手に
気がつけば白い部屋
息を殺して死んだふり
気がつけば白い拳銃
僕の左手の中に

ママンの銃弾が僕の顔を掠めて地面にめり込む
僕は左手の中の銃を僕の頭につきつけて
思い切り引き金を引いたんだ

破裂した僕の頭はまるで勃起したおっぱいみたいに
真っ赤に割れてドクドクと脈打っていた


自由詩 おっぱい Copyright 虹村 凌 2006-05-14 07:39:09
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