ぼくについての無知
むらさき

もう少しで
ぼくは
ぼくについての無知が
分かりそうな
気がするので
暗やみの中
きみを裸にする

不完全なきみが
ぼくを見ている
不完全なぼくの
わずかな感触を

宇宙に投げ出された
二人称をつかいながら
対岸に浮かぶ太陽の
意味を知るまで

ぼくの腕が伸びて
きみに触れるまで
あと
どれくらいの
まばたきが
必要なのだろう

きみが泣いているので
ぼくも泣いてみて
その理由を
探しにいこうか

奥まった夜に
ふくろうがないて
きみの声は
渦をまく

沈黙のかたちが
ふたりを抱いて
大きなゆりかごへと
変わるとき

ぼくはきみの中に
ぼくを消し去って
きみはぼくの中で
死ぬことを忘れつづける

これから
どれだけの太陽が
ぼくたちを
見つけるのだろう

数え切れない言葉が
ぼくたちを
見落とす間に


自由詩 ぼくについての無知 Copyright むらさき 2006-05-14 01:47:41
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