おっぱい
いとう

それは
消えてしまうことではなく
お互いが
取り残されること
よく晴れた午後の
陽だまりの中
繋がれた手と手が
雑作なく削ぎ落とされ
その
痛みのなか
見つめ合うこと
見つめ合い続けること

それは
失われることではなく
片隅に残り続けること
硬く、小さな闇が
血流の中
疼き続けること
そしてそれは
旅立つことではなく
引き裂かれること
つながりをいつか忘れてしまう
その、約束を背負うこと



おっぱいにも
それは訪れる
わたしのおっぱいも
あなたのおっぱいも
いつか死ぬのだ



それは
消えてしまうことではなく
お互いが
取り残されること
よく晴れた午後の
陽だまりの中
世界から取り残されたあなたと
あなたから取り残されたわたしが
見つめ合うこと
見つめ合い続けること
その痛みを
手のひらに乗せるということ
あなたの感触を
思い出すということ




未詩・独白 おっぱい Copyright いとう 2006-05-12 18:36:28
notebook Home 戻る