静かな酒の席にて
436

実のところ僕がこうして葡萄酒を喉に流し込んでいるのと

きみがグラスを傾けてやわらかな唇から葡萄酒を飲み下しているのとでは

まるでまったく別の所作のようにしか思えないのです

そうして薄く頬を染めているきみを眺めていると

まるで芙蓉の花のようだと夢見心地に思うのです

いまさらなにを言って口説こうと思っているわけではないけれど

飾らずに褒め称えたい衝動を抑えることもできそうにもないのです

それほどまでにきみは うつくしい




自由詩 静かな酒の席にて Copyright 436 2006-05-08 17:45:25
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