マゴコロ
恋月 ぴの
わたしと一緒のときでさえ
素知らぬ顔でメールチェックする あなた
コーヒーをかき混ぜる仕草で
わたしのこころをかき乱す
いつの間にかミルクを入れなくなって
ショウウィンドウに映る姿を気にしている
時計代わりの携帯電話
日焼けしたあなたの左手首に残る痕跡は
わたしの知らない
知りたくもない あなたの素顔
わたしの欲しかったものは
コーヒーカップのよどみに消えて
ロンリーハートは梅雨景色
ライトヴァースのうつろいは
わたしの知らない遠い空のした
「マゴコロってなんだろう」
それはあなたの指先
それはあなたの息づかい
わたしだってと思いながらも
ロンリーハートは降りしきる雨に濡れ
言い出せない 震える唇
臆病なわたしを膝に抱えて