熱の華
イオ





熱を帯びた肌に触れる衣が
不愉快だ
ふくれた毛穴を逆なでする

ああ どうか
放っておいてください
できれば




___ここにいる、のはなぜか
           全ての結果には原因がありそしてわたしはここにいる

          が、思いつくのは
          悲しい悲しい悲しい
          暗闇にひっそりと咲く熱の華



カタカタカタ と
キーボードは鳴るのだが
鼓動とはほど遠い
しかし 
詩人はそれを命の鼓動だと信じている
信じようとしている




数十年前の産声は
歓喜ではなかったのか
そうだったはず
だが 既に記憶は失われて
暗闇にひっそりと咲く熱の華

 

モニターに映し出された文字列を
いとも簡単に消すことは
できるはず
しかし カタカタカタ、と
聞こえるので
手はそうしない

その音は
産声なのか
華がひらく音なのか








未詩・独白 熱の華 Copyright イオ 2006-05-07 01:12:17
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