鳥瞰図、私の胸に
たりぽん(大理 奔)

狭苦しい世界から
こぼれ落ちてしまいそうに
鳥は横切っていく

この胸をしめつける病なのか
握った手のひらを湿らせるだけで
つたうものぬぐいもせず

鳥よ、名も知らぬ猛禽よ
あいつの最期に見た空を描いて
私の空に!

そうでなければ
記憶とはつながっていけない

   高層雲がちっぽけな月虹を映し出したり
   真っ黒な雨雲が飽和しきらないままで
   星空を横切りながら
   冷たく湿った高原の風が月を斬る

窮屈な体からはみ出した
私の旧いたましいは
季節の虫たちが
仄かな灯りにしてしまい

   蛍が描く空のかたち
   いや、切り取られなかった
   空を映し出し静かに揺れる水面に
   かきむしる記憶が沈んでいく

恋人達はそれを美しいと
きっと、必ず
言ってしまうのでしょう

   


自由詩 鳥瞰図、私の胸に Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-05-05 22:55:36縦
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