mint fish
まほし

歯がしくしく痛む夜にミントを、
初夏の風と小さな葉っぱを
コップの水に
くるくる溶かして
蛍光灯の下で、うがいする


クールグリーンの麻酔をかけられて
小骨のように引っかかっている、ことばの
なき声を
忘れても


月は ゆっくりはやる速度で
   光を滴らせるでしょう


星は 空だけでは飽き足らず
   地上にもさらさら
   降り注ぐでしょう


ヒートアイランドに閉じ込められた
幾多のサイコロの中で
魚は、
液晶画面に幻影を浮かべながら
瞳をめぐりめぐって


ことばは 泳いでいくのでしょう


身体の隙間に
か細い輪郭を残しても


帰巣本能のまま 、海へ




自由詩 mint fish Copyright まほし 2006-05-05 00:30:20
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