きゃんきゃんぶるー
かぜきり

まるで

まるでなにごとも
なかったかのように

空をあおく塗り
海をあおく塗り

水平線もあおでひき

青い浜辺を少しだけたして
仔犬をいっぴきかきそえる
首に首輪がいくつか
くびわに引き手がいくつか
名前はたぶんどこかのちぎれた過去で
隠すかのように横線がいくつか

まっさおな紙の上で
仔犬はひとり
ときどきくびのあたりを後足で掻き
そのたびに横線が奇妙に揺れる


なにごともなかったかのようま

あおい世界で

まるでなにもなかったのような
あおい世界で

仔犬の色は
仔犬の色は

あおにしか見えず
涙をこぼしたのは

わたし と
わたしと
わたし
   と
わたし


自由詩 きゃんきゃんぶるー Copyright かぜきり 2006-05-03 09:00:14
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